吃音 呼吸練習 発声呼吸練習

発声呼吸練習

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発声呼吸練習

呼吸と発声を合わせていく練習をします。腹式呼吸練習ではただ息を吐き出しているだけでしたが、今度は吐く息に声を乗せていく練習をします。この練習を「発声呼吸練習」と言います。

 

発声呼吸

 

日本語は五十音といって母音と子音でできています。言葉を最小の単位に分けますと、「あ、い、う、え、お」の音や、「か、き、く、け、こ」のように言葉のもとになる音素にすることができます。乳幼児が言葉を学習していく過程でいきなり「パパ、ママ、マンマ」などと二語文や三語文を発声することはありません。最初に言えるようになるのは単音からなのです。どもりの人でも「ありがとう」と言おうとして「あ」の音がなかなか発声できなくても、「あ」の音だけですと何の無理もなく楽に発声ができます。つまり、一音発声のしくみは脳にすでに学習済みということなのです。まず一音が無理なく発声できる感覚をつかんでもらうことはとても重要です。

腹式呼吸練習を行う際、吐く息の音を聴きながら「ハー」、という感じで吐きました。この時頭の中で「あ」の音を意識してみると、「ハー・・ァアー」となります。実は発声は「自動運動」と呼ばれていて、「あ」の音を発声するために口や顎をどういう風に開いたらいいのかな、舌はどの位置かな、などと考えて発声しているわけではなくて、音を、声を出そうと意識するとその指令が脳に伝わって、脳から発語のための指令が出されて発声が行われていくのです。皆さんもスムーズにしゃべれるときはしゃべれるわけですから、もともとのフレーズを発声していくために必要な音素である一音だけを発声できる、そういう発声のプログラムがちゃんと脳の中にインプットされているということなのです。まずはその一音をきれいに呼吸に合わせて発語する練習を始めて、そこからフレーズの方に移行していく練習をするわけです。

 

発声呼吸練習用CD(一式)

 

発声呼吸練習上の注意点

①発声呼吸練習用の教材を使って練習することを発声呼吸練習用CD(一式)おすすめします。DAF装置があれば繋いだ状態で練習するとよいでしょう。

②耳に聞こえてくる発声音の見本をよく聞いて真似をする感じで発声します。最初は発声音を聞いて、聞き終わったと同時に発声します。自分が発声するときは無声音になっていますので、そこで発声します。この時あくまでも呼吸練習の要領を意識して、お腹をへこますと同時に吐く息のに声が乗る感じで発声します。

③自分の発声した音を聞きながら見本に近づけていきます。見本の発声音をよく聴いて聴き終わったと同時に、真似をする感じで発声します。ただ聞き流すよりは意識的に聴こうとする意識を使うことが重要です。そうすることで脳の聴覚中枢を活性化することができて、そこが活性化するとそこからの電気信号が今度は運動野という、発語を促すための司令塔に伝わります。

このように音を聴くことはスムーズなしゃべりのためにはとても重要なのです。この時、声の高さや抑揚とかを聴くことが重要なわけではありません。よく聴いてもらうと、例えば「あ」という発声の時、最初の出だしから言い終わりまで、声の大きさや強さが比較的変わらないで聴こえてくると思います。なぜそう聞こえるかと言いますと、吐いている息が一定だからです。その一定の息に声が乗っていくので、声の強さとか大きさが変わらないのです。あくまでも息が一定に吐けていればそこに声が乗っていくことになりますから、最初の出だしから言い終わりまで声の強さと大きさが一定という感じで聴こえてきます。そういう点によく注意して声を出してください。そうすると発声した声がまたマイクに拾われて自分の耳に聴こえてくるので、できるだけ見本に近づけるようなつもりで発声していきます。発声すると同時にお腹をへこませながら声を出していく、その意識だけを使っていきます。

④声を出そうという意識より、お腹からしっかり息を吐いていこうとします。自然に息に乗って声が出ていく感じです。

⑤出だしで喉を閉めないで、軽めに吸って吐くと同時に発声します。

⑥声の大きさや強さが一定になるように心がけます。

⑦声は口先で小さく出しても、ボリュームを調整すれば大きく聞こえてきます。必ず、お腹から地声を出そうと心がけましょう。ただし、やみくもに大きく声を張り上げてしまうと声帯に負担がかかるので注意しましょう。

⑧練習に慣れてきたら、発声するときに口やあごに意識を向けましょう。そうすることで今までよりも口や顎を柔軟に動かすことができるようになるでしょう。

 

発声、構音練習

発声呼吸練習を行う際にもう一つ注意を向けて欲しいのが、口や顎の動きです。これを「構音運動」と言いますが、音を作っていくとき口や顎や舌の動きというのが大きく関わってくるのです。もちろんここでは「吃音」を片付けていきたいのであって、アナウンサーのように、滑舌よく本当に滑らかにしゃべるというところまで目指しているわけではありませんので、あまり細部まで意識する必要はありません。口や顎や舌の使い方を厳密に身に付けようとしますと、それはもう音声学の世界になってしまうので、ここではそこまでは必要ありません。

吃音の方は一般的に口や顎の力が少し弱いです。ですから、少しそれも一緒に練習していくと良いでしょう。具体的には「あー」と声を出す瞬間に口元に少し意識を向けてみてください。そうすると意識しない時に比べて口や顎がはるかに使われます。意識を向けるのと向けないのとでは全然動きが違います。

母音の中で、「あ」「い」「う」の音を三大音素といって基本的な口の構えになっていますが、「あ」が、一番縦に大きく口が開く音だと思ってもらえればいいでしょう。厳密に言うと、人差し指と中指を縦に二本にして入るくらい広がるのが開き加減としては一番いいと言われています。「い」の音は少し顎を閉じてもらって、唇が一番横に広がる音ですね。「う」は口や顎が一番閉じた状態で唇をやや窄めて前に出す感じです。この三つの音が基本になります。「あ」の音が綺麗に「あー」と発声できると、口の開き加減をやや縮めると「あーえーあーえー」と「え」の音が発声できます。それから「うー」と顎を閉じて発声しているところから、口をやや開くと「うーおーうーおー」という感じで「お」の音が発声できます。ですから「あ」「い」「う」この三つの音の口の開き加減だけをある程度覚えて脳にインプットしておいてください。

「あ」は縦に大きい、「い」は横、「う」はちょっと前。それだけをインプットしてくれればいいと思います。あまり口形にこだわって、普段動きが弱い人がいきなり口や顎を大きく開いて、それに近づけようとし過ぎると、かえって口や顎がもつれるような感じがしてぎこちなくなってしまいます。そこまですると今度はやりすぎになってしまうので、自然に使えるようにしていくためには発声する瞬間にちょっと口元に意識を向けるということをプラスしてみると、今までよりもずっと口や顎が柔軟に動くようになります。

口型3  口型3口型4

呼吸
呼吸練習

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