初語の出し方 吃音 吃音ワンポイントレッスン

初語の出し方

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初語が言えない場合 初語の出し方

「お名前は?」と聞かれた時の第一声や、苦手なフレーズの出だしがスムーズに言えない時や、第一声はどんな語であろうと出しづらい場合の練習のポイントを確認していきます。

 

吃音出だし

 

第一声が出づらい難発が主症状の吃音者にとっては、第一音がなかなかスムーズに発声できないものです。そこで、第一音、すなわち初語をなめらかに発語するためには、どんな点に注意して練習していけばいいのかを説明しましょう。

例えば、「お名前は?」と聞かれて「高橋です」と答えるとしましょう。吃音の人は出だしの「た」の音がなかなかスムーズに出てきません。しばらく沈黙が続いてようやく声が出てきたり、頑張って発声するあまり、「たっ、たっ、たっ・・・」と連発気味になってしまったりします。

そこで「高橋です」がスムーズに発語できるには、いくつかの点に注意して練習する必要があります。

まず一つ目に注意してもらいたいことは、呼吸です。「高橋です」という瞬間にまず呼吸に意識を向けることです。第一声を発声する時に、意識的に軽めに吸って、吐くと同時に発語しようとします。出だしで意識的に吸いすぎてしまうと、息が喉に溜め込まれてしまって声がスムーズに出なくなってしまいます。

ですから、吸っているか吸っていないかわからないくらいの微妙なレベルで、呼吸に少し意識を向けるくらいの感覚がいいです。そして、出だしの第一音をしっかり出したら聴こうという意識を持って発声します。

一音目は出さない限り聞こえてきませんが、発声する直前に、これから出す最初の一音目をしっかり出したら聴こうという意識を高めて発語しようとしてください。「たかはし」の「た」の音を出したら聴こうとする意識で発声すると、「たーかはしです」という風に一音目を丁寧に発声することになります。聴く意識を持たずに出せば自然にさらっと聞こえる感じにはなりますが、一音を聴く意識で発声する感覚が身に付きません。まずはフレーズの出だしの一音を喉や口、顎などに余分な緊張が生じることなく、吐く息と同時にスムーズに発声できる感覚を感じ取ります。その一音を出す感覚でフレーズを発声していく練習をするのです。

 

初語の出し方で注意する点

①呼吸の調整

出だしで軽めに吸って吐くと同時に発声しようとします。あまりたくさん吸ってしまうと、息が溜め込まれて喉が締まってスムーズに発語できなくなりますので、あくまでも軽めに吸って溜め込まずに吐くと同時に発声します。

吃音の人は苦手な言葉を言おうとしたときすでに、喉が閉まって呼吸が止まっている感じに気づくことが多いようです。そこで、指示通り軽めに息を吸ってみようとしてもうまく息が吸えないことに驚き、あわてて声を出そうとします。しかし事態は一向に変わらず、焦れば焦るほどますます声は出てきません。

ではここでどうしたらこの事態から早く抜け出して思い通りに声を出すことができるのでしょうか?

まず必要なことの1番目は、体がまぎれもなくどもる感じを感じているということをありのままに受け入れるということです。今まさにどもりそうだと体はサインを送ってくれているのにそれを受けとめようとせず、ただ嫌がってそこから逃れようと躍起になっています。まずそのサインを受けとめることです。

では具体的に呼吸はどうしたらいいのでしょう?

今、息の流れは止まっています。息の流れから言えば止まっているのですから次は吐くのが自然です。息が止まっている状態で息を吸おうとしてみますと、とても苦しくて吸うのが困難なのに気づくと思います。そこで、まず、喉が閉まって息が止まっている状態に気づいたら一旦息を吐き出すことです。こうすると次に楽に息を吸うことができます。息を吐き出す時に、出そう出そうとしている、つまり言おう言おうとしている意識から、言うことを一時的に放棄することができれば尚良いでしょう。

吃音の人は、体のどもるサインを感じると、(このサインは喉が閉まる感じとして意識されることが多いようです)その状態からがんばって声を出そうとします。つまり、声帯の筋肉がくっついて息の流れを塞き止めてしまっている状態から息の送りだしの力で無理矢理声帯を押し広げて声を出そうとしています。

その結果、声には強勢がかかって第一音がひどく強く発声されます。また息を第一声で使い切ってしまうため、第一音で途切れ、同じ出だしの語を何度も繰り返すことにもなってしまいます。したがって喉が締まっているなと感じたら、まず軽く息を吐いて改めてもう一度軽めに吸って吐くと同時に発声しなおすことが大切です。このことは、日常生活の中で、どもった時にあわてずにゆっくり言い直しをする習慣を身につけることにつながります。

②出だしの音を出したら聞こうとする意識を持って発声する

お名前はと聞かれて、「田中」と答えるとしましょう。出だしの音を出したら聞こうという意識を持たずに出せば、それは、一般的に第三者が聞いた時自然にさらっと聞こえるでしょう。ところが、言う前に、これから出した音を聞こうとする意識で発語すると、一音ずつていねいに言う感じになります。一語ずつ語尾までていねいに言う感じです。出だしの音を出したら聞こうとすると結果的に一語ずつていねいに発声することが身に付きます。ただし、出だしの一音だけ聞こうとすると、最初の一音で息が切れて次に息が流れてフレ-ズが続いていかないこともあるので、出したら一音以降の音もしっかり聞きながら発声していこうという意識は忘れないようにしましょう。

③第一音発声と同時に自分の声をしっかり聞きながら発声する

第一音を発声すると同時に一音だけでなく二音目以降もしっかり聞きながら発声しようとします。そうすると、息は一音から二音目以降に流れやすくなり、しゃべりはよりスムーズになっていきます。

 

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