吃音ワンポイントレッスン 呼吸練習

呼吸練習

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吃音改善の第一歩は呼吸

 

呼吸

 

声は息を吐き出した時に空気が声帯を押し広げようとして、振動してできます。その音は喉頭原音といい、ブザーの音に近いもので、聞き取れる人の声ではありません。その音が喉や口の中を通り、舌や口や顎が動き鼻に抜け、共鳴して音声が作られます。

つまり、息は発声のエネルギー源になっています。第一声が詰まったり、どもってしまう時、呼吸が止まっていたり、意識的に一生懸命吸おうしたり、呼吸が乱れていることに気づくことが多いと思います。

吃音の改善、解消を目指す時、まず最初に取り組まなければいけないことがやはり呼吸の仕方なのです。

しゃべるために必要な呼吸法ー腹式呼吸

私たちは生きるために絶えず意識せずに呼吸をおこなっています。この時の呼吸は腹式呼吸や胸式呼吸のいずれかです。どちらにしても、息を吸ったり、吐いたりを意識することはほとんどないでしょう。

吃音の人は胸式の浅い呼吸が多いので、どうしても十分に息を吐いていくことが難しいようです。声は息で作られていますから、お腹からたっぷり息を吐きだすことができれば、その息に乗せて声はスムーズに促されていきます。

吃音を改善、解消のための第一歩は呼吸練習です。その呼吸法が腹式呼吸です。ただし、リラックスを深めたり、健康維持・増進のために大事だと言われいる腹式呼吸ではなくて、しゃべるために必要な腹式呼吸です。声を出すためには息が必要です。腹式呼吸では吐く力が強く、意識的に吐く力を自己調節できます。スムーズにしゃべるためには、息をたっぷり供給できる呼吸、つまり、腹式呼吸をマスターすることが大切です。

 

腹式呼吸練習のポイント

・背すじをピンと伸ばし、体の力を抜いて楽にします。

・お腹をへこませながら、(おへそから握りこぶしひとつ下あたり「丹田」と呼ばれるあたり))口から空気をしっかり吐き出し、肺を空にします。男性はみぞおちの周辺をへこませたり、膨らませたりする傾向があるので気をつけます。横隔膜の上下運動は、お腹を使うことで行われます。まずお腹に少し力を入れながら、お腹をゆっくり内側に向けてへこませてください。次にゆっくりお腹の力を抜いて元に戻してください。お腹がフッと元に戻ります。お腹をぐーっとへこませるとき、ちょっとみぞおちあたりに意識を向けて頂くと、お腹をへこませてる時に横隔膜はぐっと上がります。そして、お腹の力をスーっと緩めると横隔膜が下がるのです。こうしたお腹の動きをしっかりつかみます。

腹式呼吸

もしわかりづらい場合は仰向けに寝てみてください。仰向けに寝てお臍よりも下目のお腹のところに、電話帳くらいの厚いちょっと重みのある物をお腹に乗せてもらうと、お腹がへこんだり膨らんだりするのがよくわかります。この時確実に横隔膜の上下運動が起こっています。

・お腹がへこむと同時に息を吐いていきます。お腹をへこませると同時に息は必ず口から吐きます。鼻からももちろん吐けるし鼻だけで吐くこともできるわけですが、ここでは口からしっかり吐こうとしてください。鼻から吐いてる限り決して聴こえる声は作られません。声を作るための呼吸法なので、口から必ずしっかり吐きます。

・吐くときに限界まで吐こうとする人がいます。それをやってしまうと首とか肩、声帯に緊張を呼んでしまうので、最後の最後まで搾り出そうとはしないでください。確かにできるだけ長めに吐いてもらうのは大事なことですが全部きれいに出そうとすると両肩や首、喉に力が入ってしまうので、そうなったらちょっと頑張り過ぎだと思ってもらって、それよりもやや手前のところで吸うようにしてください。

・次に静かにお腹の力を緩め、口と鼻で自然に息を吸います。あくまでも口や鼻で意識的に吸おうとせず、お腹を静かに、ゆっくりふくらませていく時に反動で吸える様に練習していきます。お腹の力をゆっくり緩めた反動で吸うということです。この時あまり口や鼻で意識的に「ハーッ」と吸い上げないようにします。口をギューッと閉じていると鼻だけでしか吸えなくなってしまうので苦しくなります。口をやや開き加減にしてもらってお腹の力だけ緩めてもらうと、自然に鼻と口で吸い上げることができますので、お腹をへこますと同時に口からしっかり息を吐いて、吐く息の音がしっかり自分の耳に聴こえるくらい、しっかり吐いてください。そして、きれいに吐き終わったと思ったところでお腹の力をゆっくり緩めて吸って、吸い終わりと同時に自然にお腹の力緩めてまた吐いていきます。

・息を吐くときは口をしっかり縦に開いて「ハー」という音が耳に聞こえるように吐いていきます。時々口を閉じてわずかに開いた口の隙間から「フー」と吐いてしまうことがあります。この吐き方は、声帯をきれいに押し広げて息をしっかり流している吐き方ではなくて、ややもすると口の中に残っている息だけを吐いてしまう吐き方になってしまいます。

できたら「フー」より「ハー」に近い感じで吐いてください。声を出す仕組みですが、喉のところに声帯という筋肉があって、声を出そうと思うと声帯の筋肉は必ず縮まってきます。息が肺から気管、気管から喉にきて口の中に来るのですが、この喉のところまで来たところで、息の力で声帯が押し広げられたときに、声帯が振動して声の元になる原音というものができるのです。ですからこの声帯を押し広げるだけの息が絶対的に発声のためには必要なのです。ですから、その息の流れをしっかり感じながら呼吸練習をして欲しいのです。

・吐いて、吸ってを連続的に行います。ここでは、呼吸を止める練習は入れません。呼吸を止めるとき、体は緊張します。そして、体が緊張することで声帯にも緊張を呼びます。ですから、呼吸を止める練習をしないことで、筋肉を緊張させることが癖にならないようにするのです。ですから吸い終わりで喉を閉めないようにすることも大切です。また息を吐く時は、口やあごを軽く開いて、吐く息の音が自分の耳に聞こえるくらいしっかり吐き出すことも重要です。なぜなら、息は発声の基ですから、喉を開いて息を外へ送り出すことができて初めて、その空気が口の中でぶつかり口や舌の動き、鼻へ抜ける共鳴の働きなどで、私たちの耳に聞こえる声に変わっていくからです。ですから、まず息をしっかり外に向かって吐き出せることが大切です。

《リズミカルに腹式呼吸を練習》

呼吸練習は、自分のペースで要領を確認しながら行いましょう。呼吸の要領がつかめたら6拍、あるいは8拍とリズムに合わせて呼吸を練習してください。

【6拍の呼吸】

・まずゆっくり6つ数える間に、お腹をへこませながら息を口からしっかり吐き出します。

・次に同じ速さで、お腹の力を緩めながら口と鼻で自然に息を吸っていきます。

・以上の呼吸を連続に、4分~5分間位練習します。

吐く                               吸う                                    吐く

1・2・3・4・5・6 /  1・2・3・4・5・6 / 1・2・3・4・5・6

【8拍の呼吸】

同じ要領で【8拍の呼吸】を8拍に変えて練習します。

吐く                                       吸う                                      吐く

1・2・3・4・5・6・7・8 / 1・2・3・4・5・6・7・8 / 1・2・3・4・5・6・7・8

 

このような呼吸練習を行なうことで、息の送り出しの力をつけることができます。特に吃音の人は、胸式の浅い呼吸の方が多いので、どうしても十分に息を吐いていくことができずらいようです。前にも言いましたように、声は息で作られていきます。ですから、お腹からたっぷり息を吐き出すことができれば、その息に乗せて声はスムーズに促されていくのです。まずは呼吸練習で、十分、吐く息中心の呼吸を身に付けて欲しいと思います。

 

発声呼吸練習
発声呼吸練習

目次1 発声呼吸練習2 発声呼吸練習上の注意点3 発声、構音練習 発声呼吸練習 呼吸と発声を合わせていく練習をします。腹式呼吸練習ではただ息を吐き出しているだけでしたが、今度は吐く息に声を乗せていく練 ...

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