筋緊張とは
「緊張」という言葉はよく使われていますが、「筋緊張」はあまり耳にしたことがないかもしれません。「緊張」はたいていメンタルの緊張感を指していることが多いものです。
あなたはよく首や肩が凝ったり、背中が張るということはありませんか? また、口のまわりがこわばる、口が回らないというようなことはどうですか?
「筋緊張」とは、まさに筋肉の緊張のことです。
実は、首や肩が凝っていたり口元やあごの筋肉が緊張していると、その緊張は喉や声帯周辺の筋肉の緊張にもつながります。その結果、呼吸が浅くなったり、乱れやすくなり言葉が出づらかったり、ひっかかったりすることも多いものです。
筋弛緩法
心理学の分野で有名なリラックス技法のひとつに『筋弛緩法』というものがあります。
アメリカの神経生理学者ジェイコブソン博士が1908年に創始したものです。このリラックス法の特色は、身体の各部分の筋肉を緊張させ、その時の緊張感を感覚として味わい、次にその筋肉を弛緩させて、緊張感がなくなり筋肉のリラックスしている時の感覚を味わいます。この練習を反復することによって、身体の各部分の筋肉をリラックスさせるコツを身に付けるというものです。
不安や恐怖感を意識した時、すでに筋肉レベルの緊張の度合いが上がっていると言われています。つまり、筋肉レベルの緊張を引き下げておければ、不安感や恐怖心などの情緒的反応、つまりメンタルの緊張感が引き起こされにくくなるといえるのです。
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リラックス練習
目次1 吃音者に必要な完全リラックス2 筋弛緩法2.1 〈ポイント〉2.2 <進め方ー短縮版を一例として>2.3 こんな方に最適3 自律訓練法3.1 標準練習の公式3.2 各段階のポイント4 リラック ...
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吃音と筋緊張
吃音者がスムーズにしゃべれないと意識した時にはすでに、筋肉が緊張し首や肩が上がり、そのため横隔膜が上がったままになってしまうため、深めの腹式呼吸が行われにくくなり、浅い胸式呼吸しかできない状態になっています。そして、息が上がって言葉がとぎれがちになり滑らかにしゃべれなくなります。
さらに破裂音(カ行やタ行など)が出づらい吃音者は、舌に力が入って舌が上顎にくっついたままはがれない状態になってしまいうまく発声ができなくなったりします。
吃音者は一般的に筋緊張が高い方が多いといえるでしょう。したがって吃音者が、『筋弛緩法』をマスターして呼吸に関わる上半身の筋緊張を下げることや、構音にかかわる口や顎、舌の緊張を和らげることができるようになることはスムーズなしゃべりを促す大きな手助けとなること思います。