吃音症の人は、「あがり」や「緊張」という問題を同時に抱えている場合が多いものです。
どもりそうな予感を感じた時は緊張感が増大し、実際にしゃべる場面ではどもることで一層緊張が高まります。そして、緊張のためあがってしまいなかなか思い通りうまくしゃべれません。スムーズにしゃべれないのでますます緊張して、焦り、慌てるのでさらにどもるという悪循環を招きます。
非吃音者にも、上司や苦手な人の前で挨拶や報告、スピーチなどをするときに緊張したり、あがってしまう人は多く、何とか「緊張やあがり」を解決して本来の能力を発揮したいと思っている人もまた多いのです。
吃音者は、非吃音者もしばしば感じている、次のような緊張感やそれに伴うあがり状態に、
・失敗しないでうまくやれるかどうか
・会議やプレゼン、発表などの場面で十分自分の能力を発揮できるかどうか
・挨拶や自己紹介、打ち合わせなどコミュニケーション場面で必要な人間関係が築けるかどうか など
吃音の症状、そのものから生じる緊張感やあがり症状も加わわるので、非吃音者以上に緊張していると言えます。
ですから、吃音者が「緊張さえしなければ、あがりさえしなければ、どもらずに、もう少しスムーズにしゃべれるのに…」と思うのもよくわかります。
緊張・あがり癖が...
緊張し、あがってしまったためにうまくしゃべれなかった経験を何度も重ねると、その経験は脳の記憶回路にしっかり定着してしまい、同じような場面に直面すると過去の緊張しあがった経験が呼び起され条件反射のように緊張しあがってしまいます。緊張やあがり癖が身についてしまった状態です。こうなると、さらに緊張やあがることに敏感になってしまいます。
どもることを予測して不安がり、すでに緊張してあがっている最中では、なかなか緊張を鎮めて冷静に現実的な行動をするのが極めて難しいものです。
そこで、自分の意志で精神的・肉体的緊張をコントロールし、あがりを抑えて思い通りのしゃべりができるように、心と体を完全なリラックス状態に導くことができるようなリラックス法を事前にしっかりと身に付けておく必要があります。
リラックス技法についてはすでに紹介していますのでそちらを参照してください。
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リラックス練習
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