かかってきた電話に「はい~です」と第一声や社名が名乗れない人。またこちらから電話をして社名や名前が名乗れない、さらに取り次いでほしい人の名前が言えない人。あるいは、電話の決まり文句のひとつである「いつもお世話になっております」や「お忙しいところ恐れ入ります」などがスムーズに言えなくて困っている吃音者も多いものです。
電話では相手が見えないので、第一声が出ないと不審がられるのをひどく恐れてしまうようです。一秒でも早く声を出そうとすればするほど、喉が締まって声が出ないので相手から、「もしもし」を連呼されてしまうことになってしまい、益々緊張が高まります。
まずかかってきた電話に出る場面ですが、社名がスムーズに名乗れるかどうかよりも、かけてきた相手に、「間違いない所にかかっていますよ」という事を伝えてあげようとする気持ちが大事です。
相手もドキドキしながら勇気を出してプッシュホンを押していたかもしれないのです。あなたがどもらずにことばが出るかどうかに気を向けてつれない応対をしたとしたら、相手には、「かけなければ良かった」という気持ちが生まれてしまうかもしれないのです。電話応対は確かにその会社の窓口といってもいいものですから、滑らかにことばが言えることは大事かもしれません。
しかし、相手に伝わるのはことばが滑らかかどうかの前に、話す態度や姿勢が声の調子となって伝わります。それが、相手に対する印象を左右することがあることも忘れてはいけません。ことばはつかえがちであってもあなたのやりとりに熱意や誠実さを感じてイメージアップにつながる場合だってあるのですから。
電話が鳴って、受話器を取り第一声を発声するときのイメージを事前に感じとってみましょう。「笑顔で明るいイメージで応対したい」「落ち着いた態度で堂々と応対したい」など、どもらずにことばが言えるかどうかより、電話応対時に感じていたい気分に焦点を合わせてイメージすることで、自然にイメージにふさわしいしゃべりが引き出されやすくなります。
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