自然治癒率
シーアン(Sheehan J) は、吃音の自然治癒率や治癒要因を知るために、1964~1967年にカリフォルニア大学に入学した学生5138名を対象に、言語検査、質問紙法、面接による調査を実施した。
その結果、過去にどもっていたが自然に治ったと判定された者は116名おり、現在どもっている者は31名いた。自然治癒率は、したがって80%となり、他の多くの調査結果と一致するとした。
この研究は最も規模が大きく代表的なものではあるが、方法論やデータの解釈に問題点が多いとされ批判をあびた。例えば、インガム(Ingham R J.1984)によると、自然治癒の規定概念がはっきりしていない。自然に治ったと報告した大多数において、親または本人によるなんらかの“治療”が試みられたことは明白である。特に成人吃音者の場合、「ゆっくり話す、くつろいで話す」など話し方を工夫した結果、どもらなくなったと答えている点を指摘している。
その後ウィンゲイトやブラッドスティンは多数の調査報告を再検討し、全く自然に治癒した率は約40~45%とみるのがよいという。