DAFトレーニングとは、DAF装置を使用して吃音の改善、解消を目指そうとするものです。
DAFトレーニングとは、遅延聴覚性フィードバック装置DAFを用いたトレーニングを行うことによって、正しい聴覚フィードバックを取り戻し、朗読や会話時の聴覚言語フィードバックの速度をコントロールすることにより、話し方や読み方に流暢性を持たせ、吃音症状の軽減、解消を促そうとするものです。非吃音者におけるDAF効果には下記のことが報告されています。
従来の吃音治療のように、他の言い易い言葉に変えたり、苦手な言葉の初語を伸ばしたりり、呼吸の仕方で調節したり、リズムを取って発声したり、リラックスしてどもる症状をコントロールしたりするものではありません。吃音の原因である言語機能の働きを、発話リード装置DAFを用いて綿密に構成された治療プログラムで新しいスムーズな発話パターンを脳に刻み込むことで、ちょうど幼児が自由に言葉をしゃべれるようになる過程を短期間に再学習させ、正常な言語機能の働きを取り戻すというものです。
したがって、吃音の症状を一時的に抑えたり、ごまかしたりというように症状を調整するものではなく、原因から本格的に治していくものです。
う。
このトレーニングで一番大切なことは、出そうとした瞬間に骨を振動させて出る音(骨伝導音)と口を出て空気を伝わって耳から入って来る音(空気伝導音)があり、その二つを区別することができ、さらに、口から出て空気を伝わり耳から入って来る音を聞こうとする習慣を身に付けることなのです。
遅延時間を長く設定すると、声を発した時に骨が振動して出る音(骨伝導)と明らかに空気を伝わって耳から入って来る音(空気伝導)を区別しやすくなります。吃音の人は、口に出す前に言えるかどうかを心の中で言ってチェックしています。この時、声帯がわずかに振るえることで骨伝導を生じさせます。つまり、骨伝導に焦点を合わせてしゃべろうとしているわけです。
自分の出した声を、耳から入って来る音として聞く感覚を体で身につけていくこと
どもらずに流暢にしゃべっている人たちは、出した声が空気を伝わって耳に到達する音を、無意識的に聞きながらしゃべっています。この時、聴覚に伝わるまでに発声してから約0,01秒かかると言われています。つまり自分の出した声を0,01秒の遅れで無意識的に聞きながら発語していく時、言葉は流暢に促されていくのです。
この仕組みは正常な人たちでは、自動的に組み込まれて働いています。思い通りにしゃべれない人たちも朝から晩まで、いつでもどこでも、どんな人の前でも常につまずき続けている訳ではありません。比較的スムーズにしゃべれる時もあります。ですから、言葉に問題のある人たちも問題のない人たちと同じ様に、自分の出した声を0,01秒の遅れで無意識的に聞きながら発語していく仕組みは持っているのですが、その仕組みの働きが少し弱いということなのです。過度な緊張や不安な場面では、空気伝導よりも骨伝導に焦点を合わせて発語していく習慣の方が強く身に付いていると言えます。したがって、まずDAFトレーニングで自分の出した声を、耳から入って来る音として聞く感覚を体で身につけていくことが大切なのです。
-
発話リード装置DAFの紹介
目次1 DAF装置とは2 発話リード装置DAFの種類2.1 据え置き型発話リード装置DAF 家庭練習用2.2 携帯用発話リード装置DAF フルーエント・スピーカーポケット型2.3 携帯用発話リード装置 ...
続きを見る
-
吃音者におけるDAF下の流暢性発話に関する脳活動
目次1 吃音者における遅延聴覚フィードバック下の流暢性発話に関する脳活動1.1 Japanese Journal of Disability Sciencesとは1.2 投稿内容 吃音者における遅延聴 ...
続きを見る