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吃音児童に聴覚情報処理障害(APD)

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コミュニケーション障害学会の学会誌(2018年12月版)に「吃音児における聴覚情報処理障害の併存に関する予備的検討」という調査報告があったので紹介します。

 

調査

 

【調査の目的】吃音児における聴覚情報処理障害(APD)の併存を検討すること。きこえの困難さ検出用チエックリストを用いて調査を実施。

【方法】都内のことばの教室73学級にリストを郵送し、吃音のある児童を担当する教諭または保護者に記入を求めた。また、難聴や発達障害の診断の有無などについても尋ねた。

【結果】35学級から回答を得た。対象となった吃音児童は169名であり、きこえの項目の合計評価点がAPD診断の基準値である5点以上となったものは、56名、全体に占める割合は33.1%であった。このうち、発達障害の診断または疑いのあるものは12名。また、きこえの項目のうち「聴覚的注意要因」の得点が高いことが示された。

【考察】調査により吃音児のAPDの割合は約3.5%であり、吃音児への支援の際には、聞き取りにくさにも配慮する必要があるといえる。特に、「聴覚的注意要因」の得点が他の要因よりも有意に高かったことから、この脆弱性が吃音児における聞き取りにくさに関係している可能性がある。また、APDの背景の多くに発達障害があることが示唆されており、対象児においても同様のケースが多いと推察される。

聴覚情報処理障害とは、

・音は聞こえているけど何をいっているのかわからない。

・そもそも自分に向かって話しかけられているのかわからない。 という症状が現れます。

本来、人間の耳、いわゆる聴覚には多数の音から、自分に必要な音だけを拾って理解をする能力が備わっています。

聴覚情報処理障害ではその能力が著しく低いため、どの音が自分に必要なのかを聞き分けることができません。

よって、すべての音が耳にはいってくるため、大きな雑音のなかに自分がいる状態になるのです。

しかしながら、聴覚に異常があるわけではないので、ある程度のコミュニケーションは取れますし、通常の聴力検査では平常値の聴力数値となるため、第三者からも障害に気づきにくいといわれています。

この調査報告を読んで、改めて吃音が、聴き取り力に大いに関係があることを再認識しました。

 

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