役者さんに吃音者が意外に多い
吃音指導を長年してきましたが、吃音を治したいと思っている方に現役の役者さんや声優さん、役者さん志望で劇団所属中の方が数名いました。
その方たちは、「与えられた役に没頭して演技しているときはどもらない」と言われていました。演技中はいいのだそうですが、休憩中の雑談時など素の自分に戻った時に途端にどもりの症状が現れると言っていました。
そういえば、実際に有名な俳優さんがかつては吃音だったという話をよく耳にします。
有名なのは、ブルース・ウィルスでしょうか。酷い吃音症で人前で話すことを極力避けていたようですが、ある日高等学校で舞台をやらなければならなくなりました。配役のセリフを一生懸命覚えて話すと「吃音」症状が出なかったのです。それに驚いた彼はその後演劇部に入り吃音を克服していったそうです。
あのジュリア・ロバーツも吃音者だったそうですね...
日本でも、西尾まりさんという女優さんが小さいころ吃音があってドクターの勧めで児童劇団へ入ったのが役者さんになったきっかけだったそうです。
普段と違うしゃべり方だとどもらない
普段の自分のしゃべりとは違うしゃべり方、つまり自分以外の人格を演じてしゃべってもらうように指示してみると、吃音症状が出にくいことはよく見られる現象です。
例えば、小さい子供に話すような子供っぽいしゃべり、先生口調で偉そうなしゃべり、おどけてチャラチャラしたしゃべりなどを要求すると、本気で演技しようとすればするほど、どもりにくくなるものです。
この時、吃音者の関心はどもるかどうかではなくて、与えられた役通りに演じよう(しゃべろう)、そして、そうできているかどうか(しゃべれているかどうか)に向いているため、吃音の回路が働き出すことはなく、目標とするしゃべりが遂行できるように言語中枢や聴覚器官、発声器官などがフル稼働して目標のしゃべりの出現を促すのです。