吃音の最新ニュースはないかと検索していたら、上のタイトル記事を見つけたのでご紹介します。
「VRbal」は、吃音によって社交不安障害を併発した人を対象にした、VR(バーチャルリアリティ)アプリです。このアプリは、苦手な場面をVRで疑似体験し、経験を積むことで、吃音の症状を軽減・克服することを目的に開発されています。
このアプリには吃音症状軽減のためのセラピーである暴露療法と、系統的脱感作法が取り入れられるそうです。系統的脱感作法は本人が不安を感じる場面を不安の強さ別に階層にわけ、不安を感じてこわばった体を十分にリラックスさせた状態で、階層の低い対象から徐々に不安や恐怖心を軽減していく療法です。
面接やプレゼンといった「緊張」の場面と、人工知能と会話しながら緊張を和らげる「緩和」の場面を交互に繰り返す方法を採用し、それらをVRで疑似体験できるようにしました。現実の社交場面における不安の対処方法を、疑似体験を通してスモールステップで身につけられるようにするのです。
この製品の開発者は吃音症状を持つ日本人です。VRbalは、彼の大学院時代の論文から生まれたそうです。近年、アメリカではARやVRなどのXR産業が非常に注目されている。彼のアイデアに共感し、コロンビア大学、ニューヨーク大学、パーソンズスクールオブデザインなどさまざまな学校から異なる背景を持ったメンバーが集まり、現在の「VRbal」開発チームができたのだといいます。
アメリカでは、吃音症の人に対して、実際に体験してもらうユーザーテストも行われているそうです。現在は、レベルでいうと、10段階中2段階目までの開発が完了しているそうです。最終的には、吃音の二次障害として併発する社交不安障害を改善させ、吃音の症状を軽くしていくことがゴールになります。2段階目の現在は、当事者の「軽微な社会不安を軽減」させられたという段階だそうです。
VRbalは今後、まずはアメリカで製品として市場に出される計画だそうです。現在アプリで採用されている言語は英語ですが、プロダクトが完成した後に日本語に対応させていく予定もあるとのこと。日本でVRbalのセラピーを受けられる日も、そう遠くないのかもしれません。