なぜ吃音者にとって電話がとりわけ苦手なのでしょうか?
吃音者で、電話が得意という人がどのくらいいるでしょうか?
パソコンや携帯電話が普及して、電話をかけなければ用が足りないということがずいぶん減ったとは思いますが、ビジネス社会に身を置いている人にとっては、やはり電話応対は欠かせないものです。そこで、吃音者が困っている場面には相変わらず電話場面が挙げられることが多いのも現状です。
では、なぜ吃音者にとって、電話がとりわけ苦手なのでしょうか?吃音者のみなさんはその理由を考えたことがありますか?
吃音者の方からよく聞く電話に関しての不安や恐れは下記の通りです。
「電話の呼び出し音が鳴っただけでドキッとして身体が硬くなってしまう」
「電話が鳴ったら出なければならないが、できたら出たくない」
「社名の第一声が出ないと相手に変に思われそうで不安」
「会社が要求しているマニュアル通りに応対できないと叱られる」例 挨拶(お世話になっております・おはようございます)を社名の前に言う。
「言葉がスムーズに出ないので焦ってさらにしどろもどろになってしまう」
「うまく要件を伝えられないので相手を苛立たせてしまうのがこわい」
「途中で詰まってうまくしゃべれなくなるのが怖いので早口になり、何度も聞き直される」
「うまくしゃべれるかどうかにばかり注意が向いてしまって相手の話の内容を聞き漏らしてしまう」
吃音者が電話がとりわけ苦手な理由
・電話はコミュニケーション手段の一つですが、電話では言葉でしかコミュニケーションが取れないこと。したがって、言葉が発声されないことにはコミュニケーションが成り立たないので、電話での応対に対する不安、恐怖が強いのだと思われます。
・電話応対の良し悪しの評価は対面時の評価(例、笑顔や表情が良い、姿勢や物腰が柔らかなど)と違って、言葉の流暢さや言葉の丁寧さ、声の明瞭度など耳で確認できるものに集約されてしまうので、より一層電話応対への不安感や緊張が増すのだと思われます。
・電話は相手の顔が見えないこと。相手の顔が見えないことで、もちろん相手の表情が読み取れません。対面であれば、相手の表情から話しやすそうな人だとか、少々どもっても大丈夫そうだなとかの予測ができますが、電話ではそれがまったくできないので、うまくしゃべれなかったときへの不安や恐れが強まるのだと思われます。
・電話では相手の状況が対面時のようにつかめないので、しゃべりのペースをどうとってよいのかわからず、結果的に思い通りのしゃべりができずに終わってしまうことが多いようです。そのため、電話応対時には過去のうまくできなかった電話応対が甦り、電話に対して強く身構えてしまうのだと思われます。
以上、あなたが電話応対が苦手だと思っている理由として当てはまるものはあったでしょうか?
電話が苦手な吃音者の方が、苦手な電話を克服するためには、「自分はなんで電話応対が苦手なのか?」まずその理由を自分に問いかけてみることが必要です。何事も、自分の現状を知ること、そしてそこで感じている感情や思いに素直に目を向けてみることが大事です。そこから解決の糸口はきっと見つかることと思います。
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