子供の吃音の発生
2歳から4歳ころは、発語に一過的につまずきがよく見られます。幼児期は言語が最も急速に発達する時期ですが、言語中枢が未発達なために、言葉を繰り返したり、つまったりすることが多く見られます。これは、そのままにしておいても、脳や言語器官の発達に伴って自然に消失するものです。
ところが、このことばを学習する過程の混乱期(3才前後)に一時的にどもった時、親や周囲の人が笑ったり、指摘したり、言い直しをさせたりすると、子供は話したい内容や伝えたい気持ちよりも話し方を気にするようになって、どもることが怖くなりことばを意識し、無理矢理発声しようと力んだり、呼吸と発声のタイミングを狂わせてどもりを習慣化させていくものと考えられています。
また、子供の吃音に対しては、親である夫婦の問題などで子どもが不安になったり、しつけに厳しく子供が常にハラハラした環境に置かれている場合も吃音になりやすいことがわかっています。
子供の吃音の特徴 ・言葉は滑らかではないが、それほど気にしたり苦にしている様子がない。 ・繰り返しや引き延ばしが多く、場面もバラバラで症状が固定化されていない。 ・発達性吃音と言われ、言語中枢が未発達な時期なので、どもりと一過性のつまずきかの見極めが難しい。 |
吃音治療は10歳前後までに
お子さんの吃音治療は言語中枢が確立する10歳前後までに行い、本人に吃音治療をしているという意識を持たせないで、楽しみながらできることが大切です。また、この時期に治療を始めることが一番望ましいと言えます。それは、言語中枢が確立した10歳以降は、吃音の発語パターンが脳の回路に組み込まれてしまっている可能性があるため、成人の吃音者同様な特別な治療プログラムを受ける必要が出てくるからです。
ところで、実際の日常では、親御さんは子供の吃音に対して「落ち着いてゆっくり話しなさい」とか「あせらないで話しなさい」と注意する場合が多いようです。 確かに親から見ると子どもは慌てて緊張しているし、焦っているように見えるので、落ち着くようにとか焦らないように、またはゆっくり話すように注意するのですが、子供はどもることを恐れて緊張したり、ちゃんと言わなければと焦っているのです。
したがって、いくら「落ち着け」「焦るな」「ゆっくり話せ」と言われても、どもることが解決しないとどうにもならないのです。子供のしゃべり方を注意するより、子供のしゃべりにしっかり耳を傾けて、何を伝えたいのか、その気持ちを受け止めてじっくり聞いてあげる姿勢を見せてあげることが大切です。そうすればもっと安心して子供はしゃべることができ、その中で自然にフイードバック機構が働き言葉が修正されていくのです。