『吃音「沈黙の共謀」を超えて』
朝日新聞「Globe」に、子供のころ吃音だった記者が書いた、『吃音「沈黙の共謀」を超えて』というタイトルの記事が掲載されていました。
今まで聞いたことのないこのフレーズを前に一瞬釘付けになった自分がいました。
記事を読み進めていって、ようやく『吃音「沈黙の共謀」を超えて』の意味を理解しましたのでご紹介したいと思います。
吃音は世界共通、文化や言語の違いに関係なく約100人に一人はいると言われています。
吃音には、病気や怪我による脳損傷などから発症する獲得性吃音と、幼時期に発症する発達性吃音があります。
2~5歳ころに発症する場合が多く、7~8割程度は自然治癒するケースが多いが、成長しても吃音が残る場合もあります。
幼稚園や小学校で、吃音をからかわれたり、いじめにあった経験を持つものも少なくありません。吃音の症状は、連発や伸発に始まり、徐々に難発へと移行していきます。
吃音者は、吃音を知られたくない思いが強いため、隠したり、話すのを避けたりする場合が多いため、周囲の人も吃音に気づかず、寡黙の人だとレッテルをはり話しかけたりする機会が減っていきます。
「沈黙の共謀」とは
ロンドンの雇用者吃音ネットワークを運営しているイアン・ウィルキーは、「吃音を隠さないで欲しい」と言っています。吃音があると、本人はつい黙ってしまう。周りもあえて話しかけようとはしません。吃音者も、そうでない人も、吃音について話をしません。こうした状況が「沈黙の共謀」です。
「吃音者は吃音を隠さず、非吃音者も変に気を回さず声掛けをして欲しい。これが「沈黙の共謀」を超えることにほかなりません。」とイアン・ウィルキーは述べています。
吃音者はあらかじめ吃音であることを周囲に伝えれば、沈黙から生じる無用な誤解を避けることにも繋がります。そして聞き手も自然に声掛けをすることでそこにコミュニケーションが生まれます。吃音者ににとって、どもりながら話すことは勇気がいることでしょうが、その一歩が「沈黙の共謀」を超えることになるに違いありません。