系統的脱感作法とは
系統的脱感作法は、アメリカのテンプル大学のウォルピー教授が学習理論の立場から発展させた治療法です。
古典的条件づけの応用で、恐怖を伴うイメージを弛緩状態で生起させて不安を軽減させるという方法です。強い恐怖や不安が、徐々に弱い恐怖や不安に変化して問題解決に向かいます。
もう少し分かりやすく説明しましょう。
恐怖や不安はリラックスした状態では起こりません。つまり、恐怖や不安を感じるような状況において緊張状態とならずにリラックスした状態になることができれば問題は解決するわけです。
例えば、高いビルの屋上から下を覗くと、恐怖を感じたり、めまいや下に吸い込まれるような不安を覚えるものです。その時、目を閉じて深呼吸をしたり、緊張でこわばった身体の力を抜いてもう一度下の方を覗いてみると、恐怖心や不安の度合いが減少しているのに気がつくでしょう。これは、恐怖や不安に対してリラックス(弛緩状態)が拮抗的に働いたからです。
吃音者が恐怖や不安を感じる場面を書き出して、恐怖や不安の弱い順に並べます。最も弱い恐怖や不安をイメージした状態で、筋弛緩法などによりリラックスした状態を作ります。十分に恐怖や不安を感じなくなったら、次にもう少し強い恐怖や不安をイメージして、同じようにリラックス状態を作ります。これを繰り返し、最終的に実際、吃音者が恐怖や不安を感じる場面でも恐怖や不安を感じなくなるまでイメージ上での練習を続けます。
脱感作法の手順
リラックスの習得
吃音者の不安反応に拮抗的で、これを制止できる反応としてリラックス技法(筋弛緩法や自律訓練法)を吃音者に習得させます。
不安階層表の作成
吃音者に不安や恐怖反応を引き起こす刺激場面を列挙させ、これを弱から強へと段階的に配列して不安階層表を作成します。
脱感作
不安階層表の各場面を弱から強の順にイメージして、リラックスによって不安や恐怖を制止していきます。
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