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吃音者におけるDAF下の流暢性発話に関する脳活動

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吃音者における遅延聴覚フィードバック下の流暢性発話に関する脳活動

2017年に、Japanese Journal of Disability Sciencesに投稿されていた遅延聴覚フィードバックDAFに関する論文が投稿されていましたので紹介します。

題名は、吃音者における遅延聴覚フィードバック下の流暢性発話に関する脳活動 近赤外分光法を用いて

投稿者は筑波大学大学院人間総合科学研究科 石田 修

Japanese Journal of Disability Sciencesとは

「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)は、国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) が構築した日本の科学技術情報の電子ジャーナル出版を推進するプラットフォームです。J-STAGEは、日本で発表される科学技術情報の迅速な流通と、国際情報発信力の強化を目指しています。電子ジャーナル出版プラットフォームを提供することによって国内の学協会および研究機関を支援し、2,000誌以上のジャーナルや会議録などの学術的な出版物を低コストかつスピーディーに公開しています。

投稿内容

自己の発話が数百ミリ秒程度遅れて聞こえる遅延聴覚フィードバック( DAF) 下では、一部の吃音者は吃音症状が軽減するというDAF効果が現れる。しかし、DAF下で吃音が改善する要因や吃音者間でDAF効果が異なる要因は明らかにされていない。

本研究では、DAF効果と脳活動の関連を調べるため、近赤外線分光法( NIRS) を用いて、吃音者11名を対象に正常聴覚フィードバック( NAF) 条件下とDAF条件下の脳活動を検討した。

その結果、吃音者はNAF条件よりもDAF条件で左中心前回と左下前頭回に相当する部位で有意なoxy-Hb(オキシヘモグロビン)の増大が認められた。また、行動指標からDAF 条件で非流暢性が悪化した吃音悪化群7 名と、改善した吃音改善群4 名の2 群に分類し、その脳活動を検討した。

その結果、吃音悪化群では右上側頭回近傍に相当する部位、吃音改善群では左上側頭回近傍と左中心前回に相当する部位で活動が亢進していた。これらのことから、吃音者には聴覚情報処理特性の異なるサブタイプが存在する可能性が示唆された。

*オキシヘモグラビンとは、ヘモグロビンと酸素とが結合したもの。ヘモグロビンはこの形で酸素を運ぶ

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