発語と聴き取りは一体
人間の脳は、自分が発語している時、主に発語に関わるとされるブローカ野のみならず、主に音声の有無やリズムなどの情報処理に関わるとされる一次聴覚野が働いています。また、他者の話しを聴いている時は聴覚野のみならずブローカ野も働いています。
つまり、発語と聴き取りは一体なのです。したがって、発語能力が向上すると、聴き取り能力も向上します。ブローカ野と聴き取り理解に関わるウェルニッケ野は、弓状束でつながっています。
吃音改善技法のひとつにシャドーイングというものがあります。この技法の本来の目的は自分の発語に対する過度の監視を弱めて本来の発語機能を促そうとするものです。
この技法のもうひとつの目的は聴き取り力を高めるということです。理想の発声見本を的確に聴き取ることができるようにトレーニングすることで、結果的に理想の音見本に近いスムーズな発声を獲得することができるというわけです。
一生懸命、声に出して発声する前にまずは聴き取ることが肝心なのです。発語と聴き取りは一体ですから。